HOME  〉コラム 〉『突然の契約解除』フリーランスの訴え認められず。公正取引委員会の指導があったのに酷い!!

2025/09/11

『突然の契約解除』フリーランスの訴え認められず。公正取引委員会の指導があったのに酷い!!

突然の契約解除…フリーランスは自分の身は自分で守らねば!

こんにちは。
クールペイです!
 
クールペイのファクタリングサービスは、フリーランスの方にも多くご利用頂いています。
 
そのため、フリーランスの方々とお話しする機会が多くあり、フリーランスとして身を立てることの難しさを常々感じさせられています。
 
そのようななかで、少しショッキングな判決がありましたのでご紹介です…。
 
 

大手出版社・宝島社 VS 書籍編集者(フリーランス)

 

 
Yahooニュースによると下記の通りです。
 
大手出版社・宝島社から書籍制作の発注を受け業務を行っていたフリーランスの書籍編集者が、業務途中に一方的に請負契約を解除され損害を被ったとして、同社に賠償を求めていた裁判の判決が9月9日、東京地方裁判所で言い渡された。
 
 
原告代理人弁護士は控訴する意向を語ったとのことなので、最終的な判決はまだわからないのですが、私はこの判決に少しモヤモヤしています。
 
 

裁判に至るまでの経緯

 
まずは、今回の裁判に至るまでの経緯と双方の言い分についてザックリ説明していきたいと思います。
 
(1) 2021年5月、宝島社からフリーランスの編集者(以下A氏)に名著の漫画家の制作が依頼されました。
 
(2) 制作にあたって、原作では高齢男性であった語り部役を、25歳女性に変更するなど、宝島社側から提示された条件に沿ってA氏は制作を進めていた。
 
(3) しかし!!…2021年7月に宝島社側が具体的に何が駄目なのか明確にせずに作り直しを指示。
 
(4) 更に…2ヶ月後の2021年9月には、急なスケジュール変更を宝島社が求めてきたとのこと
 
(5) A氏は宝島社に要望に沿うことができないことを伝えたところ、宝島社は一方的に契約解除をしたとのこと
 
(6) どうしても理不尽に思ったA氏は公正取引委員会に相談
 
(7) 公正取引委員会は、2023年6月に下請法3条(書面の交付)に違反する行為、同4条2項4号(不当な給付内容の変更・やり直し)違反のおそれがある行為であると認定。宝島社は指導を受けました。
 
(8) 指導を受けたにも関わらず、宝島社はA氏に対して代金の一部しか支払わず、、、今回の裁判に至ったとのこと
 
※上記の経緯はYahooニュースから読み取った情報を私の解釈でまとめたものです。(主にA氏側からの見解による部分が多いようなので、事実と異なる可能性もあります)
 
 

公正取引委員会が違反する行為と認定してるのに…

 
ここまでの経緯をみて不思議に思いました。
だって、公正取引委員会は宝島社が違反していることを認定しているのに、裁判で負けてしまうなんて、なんて理不尽なんだろう…そう思いました。
 
 何故、訴えが退けられてしまったのか?
 
正直、モヤモヤする判決ですが、判決を下した裁判官の言い分もあるので抜粋して書き出していくと共に、それらに対して、私の意見も書き出していきたいと思います。
 
 
(1) 原告から提案された内容や具体的な進め方等が著者ないし監修者の要望等に必ずしも沿わない面があったことは否定できない」と指摘
 
→クライアントの要望に応えるのは大切だと思いますが、できることとできないことがあると思うのです。特に今回は完成間近まで進めたプロジェクトでのちゃぶ台返しに見えるので、自分がA氏だったら辛いな…と思いました。
 
 
(2) 宝島社側が2022年1月のテレビ放送までに仕上げて欲しいとスケジュール変更を要望したが、A氏はこれに応えることができなかった。
 
→いやいや、、待て待て…宝島社がスケジュール変更を要望したのは2021年9月。約3ヶ月しかない。こんな無茶な変更も受け入れられないといけないのか?限度があるんじゃないかな?
 
 
(3) 宝島社は実稼働分の報酬・費用は支払っているのだから。
 
→これは分からなくもない。
だって、契約したら完成しなくても必ず全額払わないといけないという事になったら、仕事を依頼する側(今回で言えば宝島社)にとってリスクが大きすぎると思うから。
本質的な問題は、これらの取引が契約書などで取り決めを明確にしていなかったということ。…契約書、大切ですね。
 
 
私としては、普段からフリーランスの方々の方が身近にあるので、どうしても、フリーランス目線でこの裁判をみてしまうけど、それをさておいたとしても、ちょっとこの判決納得できないなぁ…という理不尽さを感じます。
 
 

フリーランスが身を守るためにできること

 
こんな判決をみると、フリーランスとして行きていくことに不安を感じる人も多いと思います…。
 
特に、公正取引委員会が違反行為と認めたことまでも退けた判決が下されたわけですから、もうなにを頼ったら良いのかわからなくなってしまいますよね…(T_T)
 
だから、自分の身は自分で守らないと駄目です。
それが、一国一城の主であるフリーランスには必要な所作であると思います。
 
じゃあ何ができるかといえば「契約内容を明確にしてから受託すること」です。
 
今回のA氏と宝島社の間には契約書が存在せず、口約束で仕事を受けていました。これでは、責任の所在がはっきりしないのは当然です。
 
だから、仕事を受託する時は必ず「契約書」を締結するようにしましょう。
 
でも、取引先との関係値によっては、契約書を締結することが難しいこともあると思います。
 
そんな時は、打合せ後に「お礼」と「議事録」と「対応範囲」を明確にしたメールを送っておくことです。
 
契約書という体裁がなくとも、メールで双方が合意した経緯があれば、裁判でも有効なエビデンスになることがあります。
 
 
 契約書代わりのお礼メールの例文
 
あまりに契約書っぽいテイストのメールだと、取引先に嫌がられることもありますから、下記のような文章だとどうでしょうか?
 
株式会社◯◯ 
〇〇様
 
お世話になります。
〇〇です。
 
本日は大変ありがとうございました。
とても遣り甲斐のあるプロジェクトのお話しで感激しました。
 
お打合せの内容を議事録として下記にまとめますので、万が一、解釈が違っていたり、重要な部分が抜け落ちてしまっていたりしたらご指摘頂けたら幸いです。
 
ーーー打合せの内容ーーー
※期日、仕事内容、対応範囲、報酬などをしっかり盛り込む
 
上記、ご依頼を頂けた際は、しっかりと取り組み、ご満足頂けるよう努力します。
 
なお、ご依頼前であれば、スケジュールや仕事内容の変更にも柔軟に対応できるよう調整しますのでお気軽にお申し付け下さい!
 
ご依頼をお待ちしております。
 
 
ポイントは、議事録として仕事内容をまとめることで、双方の取り決めをする契約書の代替の役割を果たさせること。
 
そして、依頼内容の変更については『ご依頼前』に限定する最後の一文です。
 
本当は、ご依頼後は変更をすることが難しいという文言も入れたいのですが、これはなかなか抵抗感を感じるかも知れないので、『ご依頼前』であれば対応できるという文言で留めておけば、取引先担当者も抵抗感を感じないんじゃないだろうか…と思います。
 
どうか、フリーランスの皆さまがトラブルなくお仕事ができますように、、応援してます!!