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2025/10/25

特許があってもマネタイズすることは難しい

特許があってもマネタイズすることは難しい

こんにちは。
クールペイです!
 
今日は、ニュースサイトの「DIAMOND online」で興味深い記事をみました。
それは、フリック入力を考案して特許を取った人のお話し。
 
今でこそ、当たり前になったフリック入力が誰かの発明だったとは…!
そんな驚きもありましたが、それ以上に、特許があるのにそれをもってマネタイズすることがとても難しいということに驚きました。
 
※参考記事↓
https://diamond.jp/articles/-/374568
(いつも愛読させていただいております!)
 
 

フリック入力を発明してからマネタイズまでの経緯

 
記事によると、2008年2月頃にiPhoneがアメリカで発売され、日本進出も間近…と考えたフリック入力の発明者は、ドコモとソフトバンクに売り込みにいったとのこと。
 
それまでガラケー中心だったモバイル市場が、iPhoneの誕生によりスマートフォンに切り替わっていくならば、日本語入力を効率化するためのフリック入力は物凄い価値あるものだとプレゼンしたわけですが、ドコモもソフトバンクもイマイチな反応…。
 
 

しかし!フリック入力勝手に採用されてました!!

 
2008年7月11日。
ソフトバンクで日本初のiPhoneが発売!
 
…と思ったら、テレビで堂々とフリック入力が紹介されているのを目撃!
「えっ!?イマイチな反応だったのに酷い…」って思いますよね?
 
私だったら怒り心頭だったと思いますが、記事によると、フリック入力の発明者は、たまたま同じこと考えた人がいたのかもしれないし、、とあまりお怒りじゃなかった様子。
 
…でも、これは心が広いことも勿論あると思うのですが、余裕が合ったのかもしれません。
 
 

既に特許申請されていたフリック入力

 
なんと!
フリック入力の発明者は、既に特許申請していたのです。
 
下記、元記事からの引用です。
 
特許出願は、出願から1年半後に特許庁により公開(注2)されることになっており、それまでは特許出願されていることがわかりません。つまり、僕の出願は期せずして「サブマリン特許(注3)」となっており、Appleもソフトバンクも、この特許の存在に気づいていなかったということです。
 
これ…ヤバいですよね!
既に端末に搭載して販売されているけど、実はそれが特許侵害にあたる機能で、その特許は実は手中にある。
 
これ、特許権を使えば物凄いことになるんじゃないか?
そう考えてドキドキだったと語っております。
 
そりゃあドキドキしまくりでしょうね^^
 
 

しかし特許があってもなかなかマネタイズが難しいという現実

 
特許を持ってるなら、権利侵害で製品の販売を差止めることもできそうだし、ライセンス料をもらうこともできそうって思いますが、実際にこれって結構難しいらしいです。
 
特に、相手が大きい会社だと特許があることを伝えて権利を主張しても、強い弁護士が出てきて技術的なほんのちょっとの違いを指摘してきて特許侵害してないっていう主張をしてきたり。
 
法律の専門家と戦うのはしんどそうですよね…。
 
そして、裁判所の判決によっては、最悪な場合、特許自体が無効というような事になってしまう場合もあるとのこと。
 
つまり、権利を主張して対価を得るには、相手との交渉が必要でリスクもある。
 
結果的に、フリック入力の発明者はマイクロソフトに特許権自体を売って莫大な収入を得たそうなんだけど、実際のところ、特許をもってマネタイズするにはどんな難しさがあるのでしょうか?
 
 

特許でのマネタイズは3種類

 
元記事では、特許により権利を主張することでできるマネタイズは3種類として紹介されていました。
 
1.自分で実施(他社については差止めし、自分でソフトウェアを販売)し、収入を得る
2.ライセンス(使用権)を他者に許諾することで収入を得る
3.特許を売却する
 
なるほど…(1)自分で特許技術を使ってなにか商売始めるか、(2)特許技術を使用することでライセンス料もらうか、(3)特許自体を売却するかってことみたいです。
 
でも、これみて思いませんか?
フリック入力の発明者は前述の通り、マイクロソフトに特許を売ったわけですけど、なんで「3.特許を売却する」を選んだんだろう?…って。
 
実は、この部分は、元記事でとっても面白かった部分なんですけど、それぞれのリスクを考えるとこれが良いっていう考えになったそうです。
 
説明していきます。
 
 
 (1)自分で特許技術を使ってなにか商売始める
既にフリック入力が実装されているiPhoneが勝手に販売されていることから、第一に相手に権利を主張して対象機能を取り消してもらったうえで、フリック入力ができるサードパーティーのアプリを販売するくらいしかないわけなんですね。
まず、販売差止めにするためには、相手の強い弁護士との戦いがあるし、仮に勝っても、アプリをインストールするiPhone端末は相手側が発売しているものだから、アプリのインストール数が増えるとは思えません。
 
 
 (2)特許技術を使用することでライセンス料もらう
私は最初これがいいんじゃないかって思ってました!
でも実際は難しいみたいで、権利を主張しても相手側が特許技術と乖離する部分があるから権利侵害してないって主張してきたり、場合によっては、この特許自体が無効だ…なんていう判決がでることも少なくないそうです。
これを特許無効審判っていうそうですが、2011年時点では36%が特許無効とされたそうです。
うまくいけば永続的に収入が入ってくるのがライセンス料が入ってくるけど、下手すればゼロ、、、ちょっとリスク高すぎですね。
 
 
 (3)特許自体を売却する
特許自体を売却したら、売却したその時しかお金が入ってこないから勿体なく思えますが、相手側も安心して特許技術を使いたいって思惑があるので、平和的に成立しやすいというメリットも。(特に相手が大手の場合は)
フリック入力の発明者も、このメリットを考慮してマイクロソフトに特許自体を売却したそうです。
 
ちなみに、マイクロソフトは、フリック入力の特許権を持って他社に対して権利侵害を訴えるようなことはしていないようです。
少なくても、公の場での訴訟などはないとのことなので、企業感でのなんらかの取引があって平和に技術を共有しているのかなって想像してます。
 
 

特許について思うところ

 
特許を持っていることで権利を主張できることはたしか。
しかし、特許侵害されていることを断定することは難しいことだし、法律で争えば、自分が権利者なのに特許を失うリスクまであるという闇。
 
まぁ、特許の仕組みを悪用して荒稼ぎするような人もいると聞いたことがあるから、これについては厳格さが必要だし仕方ない事かもしれません。
 
かといって、あまりにも有効性を主張できない仕組みだと、特許という仕組み自体が無意味になってしまって発明する人が対価を得られなくなってしまう。
 
この矛盾を解消するのはなかなか難しいものだな…と思いました。
今日まで、特許は割と絶対的なものという印象だったので、ちょっと衝撃的でした。
 
そんな記事をフリック入力が書かせて頂きました。
ほんとパソコンよりも早く入力できる。
やっぱり、フリック入力は凄い!!
 
特許の所有者はどうあれ発明者さんありがとうございます。