2025/12/27
整備工場の残業削減を実現させる。残業が減らない原因と3つの対策について解説

クールペイです。
働き方改革における残業規制が適用になり、数年が経過しております。皆さんの職場では、残業削減と聞いてどのような反応があるでしょうか。
・残業代が減るのは困る
・できるなら残業はしたくない
・仕事量が多すぎて、残業削減なんて不可能だ
働くスタッフ一人ひとりの立場や役割でさまざまな考え方があり、中には残業削減に前向きでないスタッフもいるかもしれません。
しかし、それでも残業削減には取り組むべきです。
残業削減の本質は、単に労働時間を減らすことではありません。コスト意識をもちながら働き、スタッフの健康・生活を守りながら生産性を高め、結果として選ばれ続ける工場になることだからです。
今回の記事では、残業を削減させる3つの対策だけでなく、残業削減の目的、残業が減らない原因についても解説します。
今回の記事を読めば、残業削減は働くスタッフと会社の双方が、継続的に成果をだし続けるための取り組みであると理解できます。
残業削減には日々の業務における、小さな改善の積み重ねが重要です。他社の成功事例を真似するだけでは成功しません。一過性の残業対策で終わらせるのではなく、残業削減の目的を明確にして、長期視点を持ちながら取り組むことが重要です。
クールペイは持続可能な工場運営をこれからもサポートしていきます。
整備業界の労働時間は本当に長いのか

上記は「自動車整備等」と「その他全職種平均」の年間労働時間を比較したグラフです。自動車整備等の年間労働時間は、2018年以降改善傾向にあります。これは自動車ディーラーや専業・兼業工場が作業効率化や仕事のやり方を改善してきた結果です。かつては部品待ちの間、車両がリフトを占有したままになったり、残業ありきで仕事を引き受けたりすることも珍しくありませんでした。そうした非効率的な働き方が、少しずつ改善されてきたのです。
実際に「以前より残業は減った」「昔ほど遅くまで残ることはなくなった」との声もよく聞かれます。しかし全職種平均と比べると年間労働時間は依然として長い水準にあります。つまり業界内では改善が進んでいるものの、社会全体の基準でみると、まだ追いついていないのです。
これからは「以前より良くなった」だけでなく、全職種と比較したうえで、さらなる残業削減や効率化に取り組む必要があるのです。
自動車ディーラーとその他業態の残業時間比較

上記は1カ月の平均残業時間を、自動車ディーラーと専業・兼業・自家と業態で比較したグラフです。このグラフから、1カ月あたりに60時間を超える残業の割合は決して多くないが、20~40時間未満といった比較的短時間の残業が積み重なっていることがわかります。
これは「毎日30分から1時間程度の残業が当たり前になっている」とみてとれます。たとえ1日あたりの残業時間が短くても、慢性的な拘束時間の増加は心身の疲労や集中力の低下、結果として生産性の低下につながるのです。
このような残業は「仕方がない」として見過ごされやすく、改善の対象になりにくい点も課題です。そのため残業削減を本気で進めるには「毎日少しずつ発生している残業をどう減らすか」という視点が欠かせません。
残業削減に取り組む3つの目的
残業削減に取り組む目的は、単に早く帰らせることではありません。主な目的は以下の3つです。
・働くスタッフの健康とワークライフバランスの向上
・生産性と業務効率の改善
・コストの削減
残業削減は「人を守り、仕事の質を高め、経営を安定させる」ための重要な取り組みです。残業削減の目的を見失わずに継続していきましょう。
働くスタッフの健康とワークライフバランスの向上
現在は仕事が最優先、という価値観ではなく働くスタッフの健康とワークライフバランスの向上が求められています。慢性的に残業が発生する職場は「きつい」「長く働けない」という印象を持たれやすく、仕事への取り組みが消極的になるからです。
また疲労が蓄積した状態では、どれだけ経験を積んだスタッフであっても、本来のパフォーマンスを発揮することはできません。「なんとなく今日は仕事が遅い」「ちょっとした確認を怠ってしまう」といった些細な変化は本人が自覚しにくく、職場全体のリスクになります。
スタッフが心身ともに余裕を持って働ければ、事故やミスを予防でき、仕事の質を安定させることができます。残業削減に取り組み、スタッフの健康とワークライフバランスの向上に継続して努めていきましょう。
生産性と業務効率の向上
残業削減は仕事量を無理に減らすことではなく、限られた時間の中で成果を最大化するための取り組みです。日常業務の無駄に気付き、改善すれば生産性と業務効率の向上は可能です。
「忙しいから残業が必要」「人手が足りないから仕方がない」という現場は少なくありません。しかし実際には、作業の段取り不足や情報共有の漏れ、やり直し作業など、時間を浪費している場面が少なくないのです。
例えば入庫前の情報確認が不十分なまま作業を始めてしまい、途中で追加作業が発生する。お客様からのご用命が伝えきれておらず二度手間になる、などです。こうした無駄が積み重なると、不要な作業が発生して、残業になってしまうのです。
残業削減を考えると「どこで時間を浪費したか」「改善できる部分はどこか」を分析するようになります。その結果作業スピードも安定し、ミスや再修理も減少します。残業削減は単なる時間管理ではなく、現場の仕事の質を高めるための重要な手段なのです。
コストの削減
残業削減は単に残業代を減らすための取り組みではありません。人件費をはじめとした、さまざまなコストを抑え、経営を安定させる効果があるのです。
コストが先行して増え続ける状態では、職場環境の改善や業務効率化に必要な設備投資、スタッフの福利厚生まで資金が回せなくなります。その結果、現場の負担が解消されず、悪循環に陥ってしまいます。
一方で残業削減によって残業代が減ることに不安を感じるスタッフがいるのも事実です。経営側は「なぜ残業を減らす必要があるのか」「どのような職場づくりを目指しているのか」を丁寧に伝えていく姿勢が求められます。
なぜ残業は減らないのか|現場で起きている課題
残業削減が進まない最大の原因は、ノー残業デーの設定など労働時間を制限するだけで、現場の課題を解決できていない点にあります。自動車整備は1台あたりの作業時間がかかるうえに、突発的な修理依頼や納期に追われがちです。業務構造としてスタッフ自らの意思で時間をコントロールしづらくなっているのです。
具体的には、突発的なトラブルの対応や納期に間に合わせるための無理な予定組み、作業スピードが上がらないスタッフ、などがあります。結果として、主業務に追われて洗車や後片付けが残業の内訳になってしまうのです。
これら一つひとつは小さな問題にみえても、積み重なることで慢性的な残業になっていきます。「忙しいから仕方がない」「現場仕事だから残業は避けられない」と感じている場合こそ、業務のどこで時間が奪われているのかを整理することが重要です。
突発的なトラブルに対応せざるをえない
自動車整備業に携わっていると、突発的なトラブルに対応しなければならないケースが多々あります。ほとんどのお客様が、ご自身の予定があったうえで車を使用しているからです。お客様からの「早く修理してほしい」というご希望に沿うためには、今取り掛かっている仕事を一旦止めなくてはなりません。トラブル対応が完了しても、止めてしまった仕事の納期が迫ってきています。作業を止めてしまった時間は、残業してでもカバーすることになるのです。
クレーム案件や再修理の対応
お客様とのやり取りで、無理な予定組みをせざるをえない場合もあります。それはお客様からのクレーム案件や再修理依頼などです。クレーム案件や再修理などは発生させないことが前提ですが、万が一発生したときは早急な対応が求められます。内容はさまざまなので対応方法は一概にはいえませんが、緊急度が高いことは間違いありません。
無理な予定組みは作業の段取りからやり直しになり、他の仕事にも影響がでてしまいます。クレーム案件や再修理依頼などの対応方法は、残業削減に取り組むうえでの課題です。
スタッフごとのスキル差が効率を下げてしまう
残業削減に取り組み始めると、作業スピードが上がらないスタッフが目立ってしまうことがあります。個人の能力差で、同じ作業をしても時間がかかってしまったり、教えたはずなのにできていなかったりすることがあるからです。
作業が著しく遅れた場合は他のスタッフがカバーすることになりますが、これが当たり前になってはいけません。カバーに入ったスタッフも疲弊し、残業することになりかねないからです。
残業削減を実現させるための対策3選
短期的にはノー残業デーの設定やPCの強制シャットダウンなどによって、残業が一時的に減るでしょう。しかし根本的に改善するためには、単なる時間制限だけではなく「スタッフ一人ひとりが短い時間で作業を終える」「全体の業務量を減らす工夫」の双方が不可欠です。
根本的な改善をしなければどんな施策を講じても、いずれは形骸化し、スタッフのモチベーション低下やサービス残業を招く結果になります。残業削減を進めていくためには、短期~長期視点で取り組む必要があります。
固定業務の見直し
残業削減において、確実に効果がでるのが固定業務の見直しです。固定業務とは、日々当たり前になっている業務の中の無駄を省いたり、より仕事をしやすくするための整理整頓を行ったりすることです。1回あたりに短縮できる時間はわずかでも、毎日積み重ねることで大きな成果につながります。
整備工場における見直すべき固定業務の例は以下の通りです。
・伝票や点検記録簿、保安基準適合証などの管理方法
・ペーパーレス化を意識する
・整理整頓による工具を探す時間の削減
まずはルーティン化している固定業務の中から改善できるところを探して実践していきましょう。少しの改善を積み上げることが、大きな残業削減に繋がっていくのです。
無駄な業務を止めて業務時間を短縮させる
残業削減に本気で取り組むのならば、無駄な業務を止めましょう。残業が常態化している現場ほど「本当に必要かわからない業務」が残り続けているものです。
整備工場において見直すべき業務は以下の通りです。
・目的が曖昧な会議
・内容が重複している研修
・慣例で続いている報告業務
これらは一定の学びや成果につながっているかもしれません。しかし限られた時間の中では、全てを続ける余裕はありません。無駄かもしれない、と感じた業務は思い切って止めてみましょう。本当に必要であれば、再開すればいいのです。
残業削減を実現させるためには、業務量そのものを減らす視点を持つべきです。
継続的なスタッフ育成
残業削減はスタッフのスキル向上なくして実現できません。即効性は低いかもしれませんが、長期的にみれば人材育成は残業削減へとつながっていきます。作業に時間がかかるスタッフを「仕方がない」と放置すれば、他のスタッフがカバーする構造が固定化し、結果として現場全体が疲弊していきます。
スタッフ育成におけるポイントは以下の通りです。
・スタッフ自身が、成長できていると実感できること
・安心して仕事に集中できる環境を整えること
人材育成に本気で取り組む姿勢は、経営者・管理職のスタンスそのものが問われる部分でもあります。スタッフのスキルを底上げすることが、最も確実で持続性のある残業削減策といえるでしょう。
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