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2025/11/29

スタッドレスタイヤへの履き替え|お客様のニーズに応え、利益を確保するためには?

スタッドレスタイヤへの履き替え|お客様のニーズに応え、利益を確保するためには?

こんにちは。
クールペイです。
 
季節がら、ご依頼の多いスタッドレスタイヤへの履き替え。
貴社の工場でも、雪予報が出ると電話が鳴りやまない状況に悩んでいませんか?
 
・忙しくて大変だけど、車輪脱落事故だけは絶対に発生させたくない
・需要があるのはわかるけど、儲かっている気がしない・・
・毎年のことだが、根本的な解決策を見つけたい
 
シーズンごとのタイヤ履き替え作業は工賃に比してリスクが高く、作業の平準化が難しいと感じている経営者様は少なくありません。
 
この記事では、車輪脱落事故データをもとに、履き替え作業に潜む重大なリスクと工場経営における問題点を掘り下げます。
 
お客様の真のニーズを確認したうえで、それに応えるための具体的な「確実な作業をする仕組み」と「平準化と効率化の戦略」を解説たいと思います。
 
これからの「スタッドレスタイヤへの履き替え」が急増するシーズンに向けて、整備工場様の対策に役立てば幸いです。
 
 

スタッドレスタイヤ履き替え作業のリスクと問題点

 
スタッドレスタイヤへの履き替え|お客様のニーズに応え、利益を確保するためには?
出典:自動車事故報告規則に基づく報告及び自動車メーカーからの報告
 
表は令和4年度の車輪脱落事故の月別発生件数です。
11月から2月に集中しているのは、スタッドレスタイヤへの履き替えが原因のひとつで、タイヤ交換に伴う事故割合は66%と半数以上を占めています。
 
スタッドレスタイヤへの履き替え|お客様のニーズに応え、利益を確保するためには?
 
自動車整備において車輪脱落事故は発生させてはならないものです。
より慎重な作業が求められますが、お客様から依頼を受ける現場では問題点もあります。
スタッドレスタイヤへの履き替え作業に伴うリスクと工場経営における問題点を考えてみましょう。
 
 
オーバーワークによるヒューマンエラーのリスク
 
オーバーワークは集中力を切らし、ヒューマンエラーの原因になります。
スタッドレスタイヤの履き替え作業は特定の日に集中し、重労働になりがちだからです。
 
台数を多くこなしていくと、疲労によるミスが発生したり、単調作業による油断が生じたりします。
スタッドレスタイヤの履き替え作業はオーバーワークにならないようにすることが重要です。
 
 
作業の平準化が難しい
 
スタッドレスタイヤへの履き替えは、作業の平準化が難しいのが現実です。
それは「雪予報が出たら一気に集中する」という、予測できない要素があるからです。
 
スタッドレスタイヤへの履き替えは、本来予定されていた仕事の合い間に作業せざるをえない事態が発生します。
スタッドレスタイヤへの履き替え作業は、予測できない「天気」によって入庫量が大幅に変動するため、平準化が難しいのです。
 
 
作業時間の割に売上げが上がらない
 
スタッドレスタイヤへの履き替えは作業時間の割に売上げが上がりづらいという声も多くあります。
 
その理由は、他社との競合が激しく、工賃が安価になりがちだからです。
お客様からのニーズはあるが、工場経営の視点からは収益の確保が難しいのが現状です。
 
 

お客様がスタッドレスタイヤ履き替えに求める【真のニーズ】とは?

 
スタッドレスタイヤへ履き替え作業を依頼されるお客様のニーズを深掘りしましょう。
お客様は、単なるタイヤ交換という「作業」ではなく、その先の「安心」を求めています。
 
この真のニーズを理解し、満たすことが、価格競争から脱却する。
それがお客様に選ばれるプロの整備工場になるための鍵です。
お客様が私たちプロの整備工場に期待している主なニーズは、以下の3つです。
 
①確実で安心できる作業
②時間の約束を守る
③「プロ」からの提案
 
 
①確実で安心できる作業
 
最優先すべき事項は「確実で安心できる作業」です。
お客様は信頼できる整備工場でトラブルのない整備を強く求めています。
 
タイヤ履き替え後に高速道路でお出かけになられたり、大切な人を乗せたりとお客様は予定を立てています。
お客様のニーズをしっかり汲み取り、作業面だけでなく、気持ちの面でも信頼していただけるよう取り組む必要があります。
 
 
②時間の約束を守る
 
お客様との時間の約束は必ず守りましょう。
お客様は時間を無駄にしたくないと思っているからです。
 
お客様は「予定通りに作業が始まるのか?」「いつ終わるのか?」と不安に思っています。
その不安が解消されないと、不満に変わってしまいます。
対応しているスタッフは、時間の約束を守ることを忘れてはいけません。
 
 
③「プロ」からの提案
 
お客様は安心・安全のための「プロ」からの提案を求めています。
スタッドレスタイヤへ履き替えただけでは、お客様が安全に車を使えるとは限らないからです。
 
お客様が気付かない、安全走行に直結する懸念点があるかもしれません。
潜在的なリスクを指摘し、最適な解決策を提案することが、整備士の価値であり、お客様が求めていることなのです。
 
 

4利益を確保する!履き替え作業を【プロの仕事】に変えるポイント3選

 
自動車整備の仕事は、安全を守るためのいくつもの細かな工程で成り立っています。
スタッドレスタイヤへの履き替えは、一見するとタイヤが入れ替わっただけに見えますが、仕事はそれだけではありません。
 
現場の整備士たちがプロの仕事をしていても、仕事の内容が伝わっていないこともあります。
確実な作業を行うことは大前提ですが、お客様へ「何をしているか」をしっかり伝えることも大切です。
どこでも対応できるスタッドレスタイヤへの履き替え作業を「プロの仕事」に変えるポイント3選は以下の通りです。
 
 

ポイント1|確実な作業をする仕組み【マニュアル化と記録】

 
スタッドレスタイヤの履き替えで最も優先すべきは、確実な作業です。
お客様はタイヤを交換してほしいだけでなく「安心して走行できる」安全性を求めているからです。
 
整備ミスにより、お客様の信頼を失うことは絶対にあってはなりません。確実な作業の提供は、最大のサービスであり、リスクヘッジとなります。確実性を担保するための仕組みが「マニュアル化と記録」です。
 
 
トルクレンチの使用|増し締めはダブルチェック
 
ナットの締め付けトルク管理は必ずトルクレンチを使用しましょう。
トルクレンチを使用することで、お客様へ規定トルク数値を説明でき、作業の信頼度を高められます。
 
さらに別の整備士が同じトルク数値で増し締めを行う、ダブルチェックを徹底しましょう。
手間はかかりますが、確実な作業をするためには必須です。
 
 
チェックシートへ記録しておく
 
トルクレンチの使用やダブルチェックの実施をチェックシートへ記録しておきましょう。
後からの確認作業もしやすく、作業抜けを防げます。
 
ポイントは形骸化しないことです。
 
忙しかったり、慣れてきたりすると「記録すること」が目的になりがちです。
お客様へ「確実で安心できる作業」を提供するための仕組みということを、チームで共有しましょう。
 
 
履き替え前の受付で確認する項目
 
夏タイヤの積み込み、ナット(ロックナット)の有無、窒素充填の有無などを事前にお客様と共有し、記録しましょう。事前の共有と記録をすることで作業ミスを防ぎ、お客様の安心に繋がります。
 
 
徹底すべき安全点検項目
 
タイヤのパンク・亀裂点検、残り溝の報告、TPMS(タイヤ空気圧警報システム)のリセット作業なども確実に行いましょう。これらはプロだからこそ提供できる付加価値であり、別で工賃設定すれば売上げにも繋がります。
 
このように、作業の確実性を追求し、マニュアル化や記録を通じてそのプロセスをお客様に可視化することが、安価な競争から脱却し、プロとして選ばれる工場になることに繋がるはずです。
 
 

ポイント2|【平準化と効率化】で生まれる余裕の活用

 
スタッドレスタイヤ履き替え作業を利益確保のチャンスに変えるためには「平準化と効率化」が不可欠です。
現場が「時間の余裕」を生み出すことが重要で、この余裕こそが現場からの有益な「提案」を引き出します。
 
 
早期予約システムの導入と価格戦略
 
 
タイヤ履き替えのピークを分散させることが平準化の核心です。
履き替えの提案時期は、例年の初雪観測日から1ヶ月前として、早期予約割引などで入庫を促しましょう。
 
平日と土日で履き替え工賃を変えるのもひとつの案です。
 
また、2025年4月より車検満了日の2ヶ月前から車検が受けられるように法改正されました。
この法改正により、車検整備とタイヤ履き替えを同時に作業できるお客様も増えているはずです。
 
お客様に一度の入庫で整備が完結するメリットを訴求しましょう。
 
 
「ついで」の提案で単価をアップさせる
 
確実な作業と平準化が進んでくると時間の余裕ができ、お客様へ「ついで」の提案ができるようになります。
「ついで」の提案は余裕がない状況ではできません。
 
リフトアップした「ついで」やタイヤを外した「ついで」などに点検できる箇所はあります。
お客様の車を実際に見ている整備士からの提案はお客様にとって、安心できる要素になります。
 
 

ポイント3|スキルアップと記録で【稼げる整備士】を育成する

 
確実性の仕組みづくりや、平準化による客単価アップの提案は、一度実行しただけでは効果は続きません。
これらの取り組みを習慣化し、整備士のスキルアップと工場の収益改善に繋げるためには、継続的な記録と分析が不可欠です。
 
記録と分析を通じて現場の問題点を見つけ出し、改善していくプロセスこそが整備士一人ひとりの成長を促し、「稼げる整備士」を育成する根幹となります。
 
 
作業時間の記録と分析
 
・記録項目:整備士ごとの実際にかかった作業時間を記録する
・活用方法:整備士一人ひとりのスキルと作業品質を把握します。作業時間をチェック・分析、作業品質と照らし合わせをして、データから次の改善点を見つけていくのです。
 
 
売上げと単価の記録
 
・記録項目:基本工賃に加え「ついで」の提案でご購入いただいた売上げ金額
・活用方法:整備士ごとの「提案力」(収益貢献度)を数値で評価します。単価アップに貢献した整備士を正当に評価し、インセンティブや評価制度に結びつけます。
 
 
作業ミス(ヒヤリハット含む)の記録と共有
 
・記録項目:ナットの紛失やホイールの傷など、事故になりかけたヒヤリハット事例
・活用方法:ヒヤリハット事例を隠さずに、話し合える環境が必要不可欠です。その上で、作業工程のどこに改善の余地があったかをチーム全員で検討します。当事者意識が薄いと、改善の機会を失ってしまいます。
 
記録と分析を通じた改善は、整備士一人ひとりの「作業品質」と「時間管理能力」を底上げします。これがお客様の信頼に繋がり「安さ」だけが売りの整備工場から脱却し、適正な工賃でお客様に選ばれる工場へと発展していく原動力となるのです。
 
 
クールペイは、
資金調達のお手伝いをさせていただきながら、
これからも現場の挑戦を支え続けていきます。
 

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