2026/01/15
入庫台数が増えなくても売上げを伸ばす|整備工場の売上げを決める6つの項目について解説

クールペイです。
日本自動車会議所のレポートによると2024年度の自動車整備に関わる総整備売上高が18年振りに6兆円を突破しました。車検単価の上昇や部品価格の高騰、低年式車両の整備需要増加などが主な要因です。この要因からわかるように、総整備売上高の上昇が素直に喜べる状況ではありません。入庫台数の増加や工賃の上昇といった、本質的な整備需要の拡大ではないからです。
今回の記事では、業界データを踏まえたうえで、整備工場の売上げに大きく影響する「6つの項目」について解説します。
この記事を読めば、総整備売上高の上昇が楽観視できない理由がわかり、整備売上げ拡大のために取り組むべき方向性がわかります。
結論から言えば、整備売上げは「認知度×対象台数×入庫率×提案力×売上げ単価×リピート率」の掛け算で決まります。どれかひとつでも低ければ、売上げは伸びません。まずは自社の現状を6項目で診断し、弱点を強化していきましょう。
クールペイは整備工場が持続的に売上げ拡大していけるよう、全力でサポートさせていただきます。

総整備売上高は6兆円超えだが楽観視できない3つの要因

日本自動車整備振興会連合会からの「自動車特定整備業実態調査」によると、2024年度の整備業界全体の売上げ「総整備売上高」は6兆円を超えました。これは、2005年度以来18年ぶりの水準です。
このグラフは直近6年間の総整備売上高の推移を示しています。2020~2021年度はコロナ禍で一時落ち込みましたが、その後はゆるやかに回復しています。
総整備売上高は、全体的な規模や整備士の生産性を示す重要な指標です。顧客の購買意欲や仕事の総量を把握できるからです。総整備売上高が伸びなければ、利益だけが安定的に拡大することはありません。その意味では、総整備売上高が6兆円を超えたことは、整備業界にとって明るいニュースといえます。
しかし、総整備売上高の増加だけで業績が上向いているとは言いきれません。18年前とは総整備売上高が上昇した背景が大きく変わっており、楽観視できない状況なのです。2024年度の売上増加には、主に3つの要因があります。
・新車の長納期化
新車の長納期化がひとつの要因です。本来なら買い替えを検討していたユーザーが、希望納期に間に合わず、やむを得ず車検や定期点検を実施して乗り続けるケースが増加したのです。
・使用年数の長期化に伴う整備需要増
自動車の使用年数長期化に伴う整備需要も増加しております。車検時には保安基準に適合しない箇所は整備をしなければなりません。経年劣化する部品としては、サスペンション関連のゴムブーツやドライブシャフトブーツなどのゴム系パーツがあります。これらは車両使用年数が伸びると、いずれは修理が必要になり、整備費用が上昇する要因となります。
・部品価格の高騰
近年の部品価格高騰も大きく影響しています。原材料価格や輸送コストの高騰などが主な要因です。エンジンオイルや各メーカーの純正部品、タイヤ、バッテリーなどあらゆるパーツが値上がりしています。衝撃的な例として、日産セレナC26系の純正右側スライドドアが税別¥58,400から¥418,000まで高騰したことが挙げられます。ここまでの異常数値は他にありませんが、一般的な部品でさえ10%前後の値上がりは珍しくありません。
つまり、2024年度の総整備売上高の拡大は持続的な需要増というより、外部要因による影響が大きいといえます。表面的な数字に安心するのではなく、本質的な競争力強化に取り組む必要があるのです。
国内自動車市場はすでに飽和状態

国内の自動車市場はすでに飽和状態にあり、今後は自動車保有台数が大きく増加する可能性は低いと考えられます。
このグラフは直近6年間の自動車保有台数の推移を示しています。2019年から2024年までに増加した台数は約78万台にとどまっており、総保有台数からすると微増に過ぎません。保有台数の伸びは明らかに鈍化しています。
この背景には、日本の人口動態の変化があります。総務省の統計によると、2024年の日本の総人口は約1億2,380万人で、14年連続の減少局面に入っています。さらに、運転免許保有者数は少子高齢化の影響で、2025年をピークとして減少へ転じると予測されているのです。
また、国土交通省や民間の試算では、2040~2050年にかけて自動車保有台数は現在より10~13%減少すると予測されています。特に地方部では若年層の流出や高齢者の免許返納が進んでおり、すでに保有台数の減少が始まっている地域も存在します。
これからの整備工場は、自動車保有台数の増加を前提にしない、限られた市場の中で売上げを伸ばす視点が求められるのです。
総整備売上高と自動車保有台数|対前年比の伸び率乖離の意味
上記の折れ線グラフは直近6年間の総整備売上高と自動車保有台数の伸び率を対前年で比較したものです。このグラフからわかるのは、総整備売上高の上昇は、自動車保有台数の増加と連動していないことです。
自動車保有台数の対前年伸び率は0.07~0.34%の範囲でしか推移しておらず、ほぼ横ばいであることがわかります。一方で、総整備売上高は年によって伸び率のばらつきがありますが、2023~2024年にかけては大きな上昇をみせています。この数値の乖離は、整備需要の母数である保有台数が増えていないにもかかわらず、売上げが上昇していることを示しています。2024年度の総整備売上高の上昇は構造的な成長とは言えない、外的要因によって押し上げられた側面が強いのです。
こうした環境下で売上げを伸ばしていくためには、売上げ拡大に繋がる項目を把握することが重要です。日常業務で行っていることを明確に共有することで、取り組みをさらに強化できます。整備工場の売上げに影響する「6つの項目」について解説していきます。
整備売上を拡大させる【6つの項目】
厳しい市場環境の中で売上げを伸ばし続けるには、何をするべきでしょうか。取り組むべきは、整備工場の売上げを構成する6つの項目を理解し、それぞれを強化することです。整備工場の売上げは、以下の6つの項目で決まります。
①認知度|自社を知ってもらい入庫につなげる
②対象台数|自社の対象台数を把握する
③入庫率と決着率|顧客とのつながりと進捗状況を数値化する
④提案力|入庫時にどれだけ提案できているか
⑤売上げ単価|1台当たりの整備売上げを知る
⑥リピート率|継続的な入庫や紹介につながる顧客満足度
これら6つの項目は以下のような掛け算のイメージです。
整備売上げ=認知度×対象台数×入庫率×提案力×売上げ単価×リピート率
どれか1つでも低ければ売上げは大きく目減りしますが、弱い項目を1つ改善するだけで、売上げは大きく伸びるのです。
①認知度|自社を知ってもらい入庫につなげる
どれほど優れた技術や設備を持っていても、お客様に知られていなければ整備入庫には繋がりません。
認知度の向上は売上げ拡大の必須項目です。
まず、自社の認知度を確認しましょう。商圏内(車で10分圏内)の住民のうち、何%があなたの工場を知っているでしょうか。多くの工場では30%以下というのも珍しくありません。つまり、潜在顧客の70%以上に整備工場として認識されていない可能性があるのです。
認知度を高めるためにはどうすればよいでしょうか。具体的な施策は以下のとおりです。
すぐに始められる施策
・Googleビジネスプロフィールへの登録と最新情報の更新
・口コミへの丁寧な返信
・看板やのぼり旗の設置
・地域SNSでの情報発進
中期的な施策
・地域情報誌への広告掲載
・地域イベントへの参加・協賛
・既存顧客からの紹介促進
認知度向上は、比較的低コストで始められる項目が多い施策です。まずはGoogleビジネスプロフィールの充実から始め、継続的な情報発信を心がけましょう。
②対象台数|自社の対象台数を把握する
自社の対象台数を正確に把握することが、計画的な営業活動と売上げの安定化につながります。
対象台数を把握する最大のメリットは、繁忙期と閑散期で入庫の平準化ができることです。登録台数が多い3月や9月は車検入庫が集中しますが、対象台数を事前に把握していれば、入庫を前倒しで促すことができます。2025年4月からは車検満了日の2カ月前から車検を実施できるので、この期間を有効に使いましょう。
また、入庫の分散化により作業に余裕が生まれ、提案すべきことに時間をかけられるようになります。結果として、整備売上げの増加が見込まれます。
対象台数の把握は、自社の売上げ安定だけでなくお客様にとっても、安心できる整備提案につながる有益な取り組みになるのです。
③入庫率と決着率|顧客とのつながりと進捗状況を数値化する
入庫率と決着率は、営業活動の成果を可視化する重要な指標です。入庫率は「結果としてどうだったか」を示す数値です。月ごとに集計し、過去と比較することで取り組みの成果を確認できます。一方、決着率は当月の予約・入庫進捗を把握する数値です。対象台数が多い月は案内やフォローが後回しになりやすく、入庫の取りこぼしが発生しがちです。決着率を定期的に確認すれば、進捗に合わせた効率的な活動ができます。
入庫率と決着率を数値として可視化することで、感覚的な判断から脱却し、改善点を明確にできます。整備売上げの拡大には、この指標は欠かすことができません。
④提案力|入庫時にどれだけ提案できているか
入庫時の提案力は、整備売上げを左右する重要な要素です。車両入庫時にはお客様のご使用状況に合わせた有益な提案をしていきましょう。お客様は車のことが詳しくなかったり、そもそも興味がなかったりします。トラブルがなければ、整備の必要性を実感できない方が一定数いらっしゃいます。だからこそ、プロの視点から適切な提案をすることが重要なのです。
必要な整備箇所がある場合は、専門用語をできるだけ使わず、なぜ必要なのかを簡潔に伝えましょう。一方で、状態が良い箇所については「現状問題ありません」と伝えることも、信頼関係を築くうえで欠かせません。すべてを勧めるのではなく、必要なことを丁寧に説明する姿勢がお客様の納得感につながるのです。
提案活動の本質は売上げを上げることではなく、お客様の不安を解消し、安心して車を使ってもらうことにあります。結果として、提案が受け入れられ、整備売上げが自然に上がっていくのです。
⑤売上げ単価|1台当たりの整備売上げを知る
1台当たりの売上げ単価は整備工場の収益性を把握する指標になります。お客様へ提案した結果として、どれだけの整備をご用命いただけたかを数値化できるからです。整備工場としては、売上げ単価が高いほど収益は向上しますが、単価は高ければよいものではありません。あくまでお客様にサービスを提供した結果の数値としてみるべきです。過剰な整備や不必要な提案をお客様は望んでいません。整備工場が売上げ単価を無理に上げようとすると、長期的には信頼を損なうことになります。
売上げ単価を提案活動の質やお客様との信頼関係を測る指標にすれば、整備売上げの拡大と安定につなげることができます。
⑥リピート率|継続的な入庫や紹介につながる顧客満足度
リピート率は整備工場の長期的な売上げを決定づける重要な指標です。新規顧客の獲得コストは、既存顧客の維持コストの5倍とも言われており、リピート率の向上が経営の安定化につながります。リピート率を高めるために最も重要なのは、お客様からの申し出事項を最優先で対応することです。申し出事項が解消できなければ、その他の整備が完璧であってもお客様の満足度は決して上がりません。私たちにとっては些細なことでも、お客様にとっては最も優先されるべき問題だからです。
また、整備内容の説明を丁寧かつ確実にしましょう。自動車の整備は、何をしたのかがお客様に伝わりづらいからです。作業前後の写真撮影や交換した部品の提示、整備記録簿での説明など、視覚的に示すことでお客様の納得度は大きく変わります。
日常業務の小さな積み重ねがお客様との信頼関係を築き、リピート率の向上につながるのです。
整備工場・車&バイク販売店を応援するファクタリングサービス
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